この「至高の逸品シリーズ」は、ぽんずが後世に語り継いで行きたいバッグを現役バッグデザイナーである私の独断と偏見で選んで紹介するという企画です。
世の中バッグの人気ランキングや、名品の紹介をしているブログは数多くあると思います。
が!!ここではあえてそれに加え、一世を風靡したが今では見られなくなった「あの人は今」的なバッグ、個人的に好きで思い入れのあるバッグなども紹介して行きたいと考えております。
- 現役のバッグデザイナー
- バッグデザイナーとして15年以上
- 担当アイテムはスポーツやアウトドア系のバッグ
- カバンの総合情報ブログ「カバンの図書館」運営中
ぽんず♂
選考基準は以下の通りです。
- 誰もが一度は見た事がある長く愛されるロングセラーバッグ。
- 初めて見た時に衝撃を受けたバッグ。
- 場所は限定されるが、特定の場所ではよく見るバッグ。
- 一世を風靡したバッグ。
それでは早速紹介して行きたいと思います。
「MISTERY RANCH – BOOTY BAG(ブーティバッグ)-」
引用元 : https://www.mysteryranch.jp/detail/19761004
BOOTY BAG(ブーティバッグ)とはどんなバッグ?
「背負えるトートバッグ」と聞いてあなたは何をイメージしますか?
私が真っ先に思い浮かべるバッグは「ミステリーランチのブーティバッグ」を1番に思い浮かべます。
アメリカのブランド「ミステリーランチ」から販売されるこのバッグはシンプルさと使いやすさと堅牢性を兼ね備えた「背負えるトートバッグ」の決定版だと思っています。
何故決定版だと思うのか!?
その理由を説明して行きます!
ちなみに「ブーティ」というのはビースティ・ボーイズのとある曲から広まったスラングで、「掘り出し物を物色しながら練り歩く様」を表すらしいです!
ここがすごいよ「ブーティバッグ」
こだわりの「メイド イン USA」
ミステリーランチはアメリカで軍関係者や森林消防隊などのプロが使うハイエンドバッグを手掛けるブランドです。
もともとは社長であるデイナ・グリーソンが作ったトートバッグが原型で、それを息子のポール・グリーソンがリデザインして誕生したこのバッグ。
ブランドとしてプライスを下げるために一部商品をフィリピン製に移す中、このブーティバッグは未だにアメリカ生産を維持しています。
フィリピン製の製品も専用の工場で作成されているので品質は遜色ないですが、今では希少な「MADE IN USA」であることがブーティバッグの価値を一層際立たせています。
無駄を削ぎ落とした秀逸なデザインとスペック
引用元 :
ロゴのみの「まっさら」なフロントデザインにシンプルなショルダーハーネスとトップハンドル。
どこにでも使えるこのデザインは必要最低限のスペックで構成されています。
ショッピング中は手で持ったり、街や公園をのんびり歩くときには背負ったりと、シーンで選べる2Way仕様。
内部には財布など小物の収納に便利なスモールファスナーポケットを備え、背面にはパッドが入っており適度なクッション性。
特に面白いのは本体開口にあるこの機能!
トップハンドルを開くだけで本体が開口し、背負うと自動的に閉まるようになっています。
これはハーネスがトップの角カンを通して縫われているため、背負うと表身頃が引っ張られ自動的に開口部が閉まるよう設計されているのです。
ブーティバッグ誕生秘話
モンタナ州ボーズマンで開催される「ハーチフィルムフェスティバル」に訪れた方々がパンフレットやお土産をバッグに入れてさっと背負えるようにと誕生したこのバッグ!
もともとは社長であるデイナ・グリーソンが作ったトートバッグをベースに、息子のポール・グリーソンがこのフェスティバルのノベルティとして作成されたのが始まりです。
ただのノベルティを商品にブラッシュアップさせたポールのデザインセンスも素晴らしいですね!
「ブーティバッグ」が与えた影響
このバッグが認知されていった背景
ミステリーランチはネイビーシールズ(アメリカ海軍特殊部隊)やミリタリー向けの製品を手掛けるほどのクオリティとデザインを誇る世界有数のバッグブランドです。
そのためハイスペックで斬新なデザインではあるけど、どこかカジュアルさに欠け、日本では一部のマニアに注目される程度の評価でした。
しかも当時はどのバッグも値段が高価でしたしね!!
日本での取り扱いも最初は無かったので、まさに「知る人ぞ知る」バッグブランドでした。
ブーティバッグはそんなミステリーランチから発売されたこともあり、カバン好きや服好きな方々からの注目度は大きかったような気がしています。
シンプルでカジュアルなデザインに、生地や縫製はミルスペックとなんら変わらぬ品質。
何よりミステリーランチのバッグが1万円ちょっと買えてしまうということも当時は驚きでした!
知名度は低いながらも、瞬く間に色々な売り場に広がっていった背景には、以下の4点があったと思っています。
- 重厚な背景を持つブランド(社長はデイナデザインやクレッターワークス創業者)
- 高い商品力(ミルスペック相当の生地と縫製)
- 服装を選ばないデザイン(正面にはラベルのみ、シンプルなデザインと機能)
- 手に入れやすい値段(その他のバックパックは3〜4万円台が多い中、1万円前半の値段設定)
以上の理由からファッション好きやマニアから徐々に広がっていき、最終的にシンプル2Wayトートバッグのある種アイコンになっていったわけです。※個人的な感想を多分に含みます(笑)
古くて新しかった2Wayトートバッグ(リュック)
しかし果たして、このバッグは新しく画期的なものであったのか?
答えは「NO!」
はっきり言って、同じような背負えるトートバッグは昔からありました!
他のアウトドアブランドからも出ていたし、カジュアルブランドなどからも2Wayトートバッグは存在していました。
高機能なものもありましたし、シンプルなものもありました。
そもそも子供の頃に使った方も多いであろう「ナップサック」なんかも使い方は同じですしね!
引用元 : adidas ジムバッグ
ではなぜこのバッグがそれらのバッグを差し置き、2Wayトートバッグ(リュック)の決定版とまで私がいうのか。
それは、形・機能・デザインの均整が絶妙にとれていると思っているからです!
どんなものでもこの「均整がとれている」ことは大切です。
機能を詰め込めばいいわけではありませんし、いい素材・資材を使えばいいわけではありません。
「日用品が持ち運べる程度のサイズ感」「形状や装飾にクセが無いデザイン」「軽量で高強度な素材のセレクト」「縫製も良い」
これらの要素がどれも高レベルで上手くまとまっているところにブーティバッグの魅力があると思います。
しかもメイドインUSA!
まとめ
全体的にまとまりがよく非常に完成度が高いブーティバッグですが、使用して不便に感じるところがあるとすればPCやドキュメントを収納するスペースが無い点でしょうか。
ただムダな装飾も機能も無い、いい意味で「ザックリ持てるバッグ」がこのアイテムの魅力でもあると思うので、個人的にはそこまで求めるのも無粋かなと思ったりもします。
どうしてもノートPCやタブレットを持ち運びたい場合はPCケースに入れて持ち運ぶこともできますしね!
以上が「ミステリーランチ ブーティバッグ」の紹介になります。
最後まで見ていただきありがとうございました!!
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